むかーしに見た夢の話
むかーしに見た夢の話、すごくリアルな話なんだけど私に弟はいないっていう。
起きてからも悲しくってしばらくずっと泣いてたなぁ。
悲しいと本当に胸が苦しくなるってことを知った夢だった…。
こんなストーリー性ある夢見るなんてどういう思考回路してるんだろうな、私。
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学生の頃、小学生の弟がいました。
弟は身体が弱かったわけではなく、でもある日突然入院してしました。
詳しい病状は知りませんでしたが、治療が難しい、所謂難病でした。
弟は自分がそんな難病とは知りません。
入院してからも笑顔が絶えず明るい子でした。
私と弟はとても仲良しでした。
弟が少し人見知りもあったせいか、よく私にくっついてきてました。
弟の小学校に一緒に行って、弟の机に落書きしたりしてました。
相合傘に弟と私の名前、先生に内緒ねって笑いあいました。
冒険気分でとても楽しかったのを覚えています。
私の高校にも遊びにきたりして、全部全部が楽しかった思い出です。
弟の手術の日が決まりました。
成功率はまだ五分五分だそうです。
私は担当医の先生と約束しました。
成功するかどうかは、当日の状況を見るまでは高いも低いとも言えないと。
なら。
私は持っていた絆創膏を2つ渡しました。
1つは無地の普通の絆創膏。
もう1つは弟が好きなキャラクターの絆創膏。
弟の手術が上手くいったなら、キャラクターの絆創膏を当日に返してください。
上手くいかなかったのなら、無地の絆創膏を返してください。
当日になりました。
弟は今日も笑顔で元気に見えます。
難しい手術だと言うのは伝えていません。
少なくとも私は伝えていません。
いつもどおりの弟。いつもどおりの私。
弟は笑顔で手術に向かっていきました。
私も笑顔で弟を見送りました。
私は祈りました。
ずっと、ずっと手を組んで、目をつむり祈りました。
弟のあの笑顔をまた見れると信じて、ずっと祈り続けました。
どれくらい経ったのか、気づいたら先生が私の前に立っていました。
先生の顔色は見えません。
私は、先生の前に進み出ました。
ゆっくり、2、3歩、それだけで先生の前にたどり着けました。
先生は手のひらを握って、私に方に向けてきました。
私は手のひらを差し出しました。先生の握った手が私の掌の上に。
そして先生は、そっと握った手のひらをはなして、私の手からどけました。
私が見た絆創膏は。
絆創膏の柄は。
どこにでもある、無地の茶色い絆創膏。
弟は、
助からなかった。
そのあとの私は弟の顔を見ることができず。
弟との思いでが詰まった場所へ、一人泣きながらさ迷い歩きました。
手をつないで歩いた道。
忍び込んだ小学校。
机に書いた落書き。
笑いあった、あの笑顔、あの笑い声。
こっそり上った屋上。
夕方の屋上で、
もう、弟は、私の弟は、この世にいない。
もう、あの笑顔を見ることができない。
弟は、死んでしまったと、気づいてしまいました。
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